審美歯科の基礎知識

審美基準 歯の審美 審美歯科材料 ホワイトニング

ホワイトニング

ホワイトニング

 ホワイトニング Whitening と日本国内では称していますが、世界的には漂白 Bleaching と呼ばれています。
いわゆる ホワイトニング (以後、ホワイトニング)をすると、歯が白くなるのではなく、歯が明るくなるのです。  Whitening ではなく Lightning なのです。
色が明るくなることで、元の歯の色の具合により、歯が白くなったと感じられる色の変化を示すのですね。

 また、一度白くなっても、必ず白さの後戻りを起こします。
ホワイトニング の仕方(術式)により、歯の白さが持続する期間は異なります。

ホワイトニングのメカニズム

 歯を白くする効果は、過酸化水素のみに認められています。  ・・・まさに漂白ですね・・・

 ホワイトニング で何故歯が白くなるのかについては、代表的な考え方を記します。

  ● 過酸化水素が分解されてフリーラジカルとなり、歯の内部の色素を分解する。

  ● 過酸化水素が歯の表面を酸処理して、光りが乱反射する。

しかし、まだ詳しいことは解明されていません。
 

ホワイトニングによる変化

 通常、歯の色を識別する時に、VITAという色見本を参考にします。
この色見本では、歯の色を色相により、A系統(オレンジ色) B系統(イエロー・オレンジ色) C系統(グレー・オレンジ色) D系統(ブラウン・オレンジ色) の4つに分類しています。  そして、各々の系統内で、明度で更に4段階程度に分類しています。

   A1 / A2 / A3 / A3.5 / A4
   B1 / B2 / B3 /      B4
   C1 / C2 / C3 /      C4
       D2 / D3 /      D4


 この色見本を明度を基準に明るい順番に並べると

  B1 / A1 / B2 / D2 / A2 / C1 / C2 / D4 / A3 / D3 / B3 / A3.5 / B4 / C3 /A4 / C4

という順番になります。

 ホワイトニング は元の歯の色が明るくなる変化です。
上の分類に従えば、A系統の暗い色から明るい色へ、C系統の暗い色から明るい色へ、と変化するわけです。  決して、D系統の暗い色からB系統の明るい色に変化した、などという色の系統を超えた変化はありません。

 具体的には、ホワイトニングをすることで、歯の明度は、8段階ぐらい明るくなります。 (注意 : 人の体ですから、個人差は付きものです。)
例えば、最初にA3.5の色だった人が、ホワイトニング後にA2になったとすると、色相的には2段階しか変化していませんが、明度的には7段階の変化をしたわけですね。

 経験的には、元の歯の色相により ホワイトニング の効果に差が見られることがあります。
歯の元々の色相により、ホワイトニングをしたことが分かりやすい変化、即ち、歯が白くなった!という変化を起こしやすいのは、A系統とB系統です。
ホワイトニングをしたことが分かり難い、即ち、歯があまり白くなってない・・・という変化になりやすいのは、C系統とD系統です。

 ただし、これは経験的な話であり、個人差は必ずあります。
また、ホワイトニング前に抱いているイメージによっても、個人の満足度は変わってきます。

                                                                         【ページのトップへ戻る】

変色歯のホワイトニング

 歯をよく観察すると、その表面に縞模様を認めることがあります。  これは、歯ができる過程の中で生じたものです。
また、小さい時の服薬の影響などで、VITAの色見本には収まりきれない色合いを示す歯もあります。 (代表的なものはテトラサイクリンによる変色)
これらを変色歯と称しています。

 Feinman の分類が有名で、その程度により4段階に分類しています。
  F1 (1度)  淡い黄色〜褐色の色合い
  F2 (2度)  淡い灰色
  F3 (3度)  濃い褐色〜灰色
  F4 (4度)  かなり濃い着色
ひどく(?)なるにつれて、一般に縞模様もひどく目立つようになっています。  特に歯の根元辺りの色が濃いようです。

3度、4度以上の重症になると、 ホワイトニング の効果はかなり限られて、ホワイトニングの適応症からは除外されます。
実際にやってみると、歯の色合いは明るくはなるのですが、どうしても元の歯の色合いが残ります。  どちらかと言えば表面が白いチョーク状の変化を示します。
また、縞模様が強い場合、歯が明るくなることでその縞模様が強調されたようにハッキリと明確になってくることがあります。

ホワイトニングの術式

 歯を白くしたい! というときには、先ずホワイトニングが治療の第1選択となります。
( 第2選択として、効果がない場合にラミネートベニアです。)
以前は、オフィス・ホワイトニングしかありませんでしたが、今ではホーム・ホワイトニングが主流となっています。

オフィスホワイトニング

     10〜20%の過酸化水素を高エネルギーの光刺激により急速に活性化させ、より急速にホワイトニングの反応を進める。
     過酸化水素の濃度が高く非常に刺激が強いので、処置時には歯肉防護材が必須である。
     1週間に1回を目安にして、3〜4回の通院が必要です。  処置に必要な時間は本数によっても変わりますが、大体1時間ぐらいでしょう。
     後戻りが非常に早い、という欠点がある。

ホームホワイトニング

     10〜20%の過酸化尿素がゆっくりと分解されて極低濃度の過酸化水素となり、ゆっくりと持続的にホワイトニングの反応を進める。
     過酸化尿素は刺激がとても弱いので、自宅でも安全に使用することが出来る。
     1日1回4時間以上お口の中に用いて、約2週間を要します。
     白さが長持ちして、1〜2年程度もちます。
     オフィス・ホワイトニングに較べて、歯の表面の艶がしっかりしている、という知見もある。

ホワイトニングに伴う様々

 ホワイトニング 中の事象で一番困った問題は、知覚過敏を起こすことがある! ということです。
全ての人で起きるわけではなく、起きてもその程度は様々です。  しかし、ひどい場合には、ホワイトニングを中止せざるを得ないほど凍みることもあります。
ホワイトニング中の知覚過敏に対して有効な策は、処置の2週間以上前から知覚過敏用の歯磨き粉を用いて歯磨きを行う、というものです。  これにより、かなりの程度、発症を予防、ないし発症しても症状の軽減を図ることが出来ます。

 ホワイトニング 中にフッ素を使用すると、ホワイトニングの効果を妨げる、という報告もあるようです。
経験的には、そのようなことを経験したことはありません。  ホワイトニングのメカニズムに不明な点があることも考え合わせれば、歯を積極的に守る為にフッ素入りの歯磨き粉の併用が好ましいと考えています。

                                                                         【ページのトップへ戻る】


Copyright (C) 2008 saa-dental clinic. All Rights Reserved

審美歯科治療&ホワイトニングの背景となる基本的な事柄について説明しています。