審美歯科の基礎知識

審美基準 歯の審美 審美歯科材料 ホワイトニング

歯の審美

審美歯科における美の基準 ‐ 歯と歯並び

 歯の形や色は様々です。  その人その人の個性の表現でもあります。
ただ、 審美歯科 という観点で見るときには、自ずと異なる見方があります。  その人の個性を活かしながら、より審美的な個性の表現を行うことが大切です。

歯の形態

 上の正面の前歯(中切歯)は歯列の構成要素の中でもっとも目立つことが大切です。
漫画の歯と異なり、歯の大きさは1本1本違います。  大きさを単純に比較するならば、大きい前歯、小さい前歯、大きい犬歯 と並ぶことになりますが、正面からお口を見て見える歯の大きさで考えるならば、歯列はカーブを描いていますから、そうはなりません。  正面の歯はその全てが見えますが、奥に行くに伴い正中よりの一部(近心側)が見えるようになります。

 審美 的な前歯の見え方は、
     中切歯 : 側切歯 : 犬歯 = 1.618 : 1.0 : 0.618
黄金比を保って、左右対称であることです。
          前歯における黄金比

 前歯の歯軸は、一般に中切歯より犬歯の方が近心傾斜が強く、末広がりにバランスよく並んでいます。
          前歯の歯軸

 そして、犬歯から臼歯(奥歯)にかけての歯軸は、正中線をはさんで線対称となります。  結果として、歯の頬側面(外側の歯面)の傾斜が連続したグラディエーションを示します。
          奥歯の頬側面の傾斜

 歯の形も、丸い感じの歯やら、四角い感じの歯やら、逆三角形の歯やら色々ありますが、一番大事なポイントは、切縁部の形態です。
一般に、近心の隅角は急なカーブで、遠心の隅角は緩いカーブ を採り、切縁全体としてやや遠心上がりになっている方がより 審美 的に良好になります。
年齢を経ると、咬耗により切縁部が磨り減ってしまい平坦になっていきます。
また一般に、四角い歯は男性的なイメージで、丸い歯は女性的なイメージを持っています。
          歯の審美的な形態

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歯の色

 天然歯の色調は『オレンジ色』が基本です。
通常、歯科の世界ではオレンジ色をベースにして、歯の色相を4種類に分類します。
 オレンジ (A系統)
 イエローオレンジ (B系統)
 グレーオレンジ (C系統)
 ブラウンオレンジ (D系統)

それぞれの系統ごとに明度を基準として更に分類します。  通常は1〜4の4段階に分けます。

そして、歯の表面の特徴としての白斑、透明部分、縞模様などを彩度と色味と合わせて確認します。

ブラックトライアングル

 ブラックトライアングルとは、前歯の歯間部において同部の歯肉の歯間乳頭が存在せず、三角形の隙間が空いている状態のことを指す。
口腔内においては黒く見えるため、審美的な障害となることが多い。

 原因としては、

  ・歯根が平行でない
          ⇒ いわゆる歯並びが悪い為、歯冠形態や歯周組織が正常であっても根元に隙間が空いている。

  ・歯冠形態に問題がある
          ⇒ 一番細い歯の根元から一番広い切縁へ向けて直線的に歯の形態が拡がり三角形状の歯の形をしている。

  ・歯周組織自体が減少して下がっている
          ⇒ 歯周病などで歯を支える骨や歯肉が下がってしまい、歯根まで露出している。

  ・隣接面の接触点の位置と形態に問題がある
          ⇒ 歯の隣接の接触点と同部の骨頂の距離が5mm以上ある。

錯覚の利用

 様々な諸条件により、必ずしも理想どおりに歯の形を整えられない場合もあります。  そういう時は、錯覚を利用して 審美 性を追及します。

広く見せたい場合は、唇面を平坦にして辺縁隆線を強調して、明るめの色合いにします。
狭く見せたい場合は、唇面を丸くして辺縁隆線を弱めにして、暗めの色合いにします。
          錯覚の利用 1

長く見せたい場合は、唇面を平坦にして、豊隆部を歯頚部寄りにします。
短く見せたい場合は、唇面を丸くして、豊隆部を切縁寄りにします。
          錯覚の利用 2

                                                                           【ページのトップへ戻る】

歯−歯肉複合体

 修復物は生体と調和している必要がある。  即ち、生物学的要因を常に考えることが大切です。
健康な口腔内において、歯と歯槽骨と歯肉の3者の関係は、生物学的幅径という概念で捉えられている。  歯槽骨よりも上で先ず歯と歯肉は結合組織性付着を起こし、次に上皮性付着でくっついている。  結合組織性付着の幅は1.07mmで、上皮性付着の幅は0.97mmであるとされている。
         生物学的幅径

歯肉の描くライン

 正面から見た歯肉の見え具合は、
正中線に対し左右対称で、自然なスキャロップ型を描いている、という状態が 審美歯科 的に良好です。
臼歯部から連続していて同じ平面上にあることは、当然ながら大事なことです。
          スキャロップ状の歯肉
左右非対称になっている場合は、歯周形成外科で歯冠を長くするとか、術前矯正を行い歯肉のレベルをそろえるとか、の処置が必要になります。

                                                                           【ページのトップへ戻る】


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